2019年11月16日 最新

平成24年6月2日 産業衛生学会 歯科部門フォーラム

平成24年6月2日

第85回産業衛生学会総会・歯科保健部会フォーラム 「共通生活習慣病リスク予防と口腔保健の役割」において 講演、討論に参加してきました。

【フォーラム趣旨】近年、生活習慣病リスクと口腔保健の関連が明らかになってきている。
う歯、歯周病の予防など口腔の健康づくりと、がん、循環器疾患(脳卒中、虚血性心疾患)などの生活習慣病、および、その危険因子(リスク)、すなわち、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの予防は、全てリクスに共通した生活習慣(共通生活習慣)としての指導が効果的である。そのことは、産業歯科保健の現場でも、共通生活習慣病リスク予防や指導という視点から進めることが大切である。したがって、本フォーラムは共通生活習慣病リクス予防における口腔保健の意義を議論する。ここで共通生活習慣、すなわち、共通生活習慣病リスクというのは、ロンドン大学(UCL)のSheihamやWattらが2000年に、「コモンリスクファクター/健康ファクターアプローチ (Common Risk/Health Factor Approach)」 として提案したもので、WHOでも取り上げられている健康づくりのアプローチ法である。健康や疾病は、食生活、ストレス、清潔、自己管理力などの生活習慣が関係していて、肥満、皮膚病、呼吸器疾患、う歯、歯周病などのいろいろな疾患の共通した発生要因で生じ、指導は異なる分野が連携して行うことが必要である、とするものである。生活習慣病リスクやその予防ができるように、共通する生活習慣を関係者が連携して指導し、う歯、歯周病の予防を含め、産業保健、および生涯を通して自らの健康づくりを目指そうとするものである。

座長 加藤 元(産業歯科保健部会長)
加藤一夫(愛知学院大学歯学部、准教授)


【メタボリックシンドローム健康診断と歯の健康】
久田 和明 (刈谷市歯科医師会)

<事前抄録>

刈谷市歯科医師会では、H19年よりT社の社員全員対称(35歳から60歳)にした健康診断の発展型として1日スケジュール特定保健教室のなかに歯科の内容を取り入れた健診事業を展開している。1時間30分の歯科プログラムは、メタボ健診を鑑み、お口の健康と全身の関わりを情報提供し、健診・各種検査・アセスメントにより動機付け支援し、さらに積極的支援に導ける内容の=歯の健康つくり教室=として行っている。

今回はその健診内容を紹介し、健診によって得られた歯科データと受診者の血液データを中心とした全身データをも会社の協力のもと得られたため、愛知学院大学歯学部口腔衛生学教室の協力により、歯科データと全身との関わりをデータ分析することができた。データ分析は30歳代399名、40歳代540名、50歳代288名、合計1227名の男性を分析した。1227名中メタボリックシンドロームと判定された者は93名(7.6%)であった。メタボリックシンドロームと判定された者は歯の数が少ないことが判明した。また、血圧の高い者・血糖値の高い者・BMIの高い者も同様に歯の数が少ないことが判明した。

以上からメタボリックシンドロームと歯の健康との関連を裏付ける興味ある知見が得られた。


<特定健診を見据えた事業所歯科健診の紹介>

豊田自動織機(株)安全推進部健康管理課 と 豊田自動織機健康保険組合の事業
35歳から60歳までの社保本人の社員全員に保健指導、5年きざみで、1日出勤形態で受診
あいち健康プラザにて、Aコースに組み込まれる。
1月5~6回 25~30名
『食事』 と 『運動』

<お口の健康に関するアセスメント・シート>

歯科のアセスメントはこの1つ
歯の健康つくり得点
詳細説明:20点満点 10項目 学術的基盤あり  点数化によるデータ整備が可能
保健指導と連結
継続的考察が可能
お口の健康に保ち8020を達成する生活習慣を表わす指標である。
cf.標準的な保健指導の歯科アセスメント
6項目の2倍  歯周病のリスク6項目 歯周病に罹患6項目  点数化なし
cf.ブレスローの指標

<歯科医師による講話(15分)>

以下に実際の歯の健康つくり教室の実際の紹介
歯科医師による講話:『お口の健康とメタボリックシンドローム』
標準的な保健指導の教材D34~36をベースに作成


<歯科健診(得点表解説)>

全員を歯科健診
得点表の解説ー前述の3段階
従来の健診とCPI検査
健診データはその場でデジタル入力


<衛生士による歯科保健指導>

歯科保健指導のようす
専門の衛生士による歯周病対策を中心とした、生活習慣の改善も含めた保健指導


 

歯科保健指導も特定健診に順次、リスク階層別し、対応したお口の保健指導を展開してゆく。


<検査 と 情報提供>

歯科健診の順番待ちの時間を利用して、各種検査と情報提供のパネル展示とDVD放映をします。
検査:口臭測定、口腔内カメラ、プラークの顕微鏡検査
日本衛生士会DVD “からだの健康は、歯周病予防からーこれからのオーラルセルフケアー”


<データベース:健診項目>

1日スケジュールには、採血検査と各種アセスメントが実行されており、歯科と医科のこのようなデータが整備され、比較検討することができます。また、医療費も健康保険組合の協力のもと、検討項目に追加する事ができました。


<2008・2009年度データ分析>


<メタボリックシンドローム と 歯数>

 

メタボに該当した人

30歳代:24人 40歳代:32人 50歳代:37人


<メタボリックシンドロームと歯の健康づくり得点のそれぞれの項目 >

<有意なのは趣味>

 


<お口の健康(歯周病) と メタボリックシンドロームの関係>

●歯の数が減少すると、メタボになる確率が高い傾向にある。(総和でメタボの人は1.2歯少なく、検定結果より有意の差がある。)
●健康つくり得点の10項目のなかで、メタボに影響する因子は趣味であった。

お口の健康(歯周病)と メタボリックシンドロームは深くかかわっている。

(株)豊田自動織機安全健康推進部健康管理室
刈谷市歯科医師会・(有)システムウェルネス・愛知学院大学歯学部口腔衛生学教室


<血圧 と保有歯数>

血圧が高い: 最高血圧130mmg以上
血圧が低い: 最高血圧130mmg以下


<HbA1c(6.0) と 保有歯数>

 


<HbA1c(6.0) と 歯の健康つくり得点>


<HbA1c(6.0以上)とCPI  糖尿病 と 歯周病の関係>

ロジスチックの回帰分析

逆も然り


<お口の健康 と循環器・内分泌疾患との関係>
●歯の数が減少すると、血圧を上昇させる因子となる。
(総和で、血圧の高い人は低い人に比べ0.96本歯の数が少ない。検定結果より有意の差がある。)
●糖尿病 と の数は密接な関係にあり、歯の数が少ない人は明らかに血糖値が高い。このことは、年齢の増加とともに、著明になる。(HbA1cが6.0以上の人は、低い人にくらべ、2.4本歯の数が少ない。)
●歯を健康に保つための生活習慣  と 尿病は関連している。
糖尿病 と 周病の密接な相互関係が立証された。
糖尿病 ⇔ 歯周病 

(株)豊田自動織機安全健康推進部健康管理室
刈谷市歯科医師会・(有)システムウェルネス・愛知学院大学歯学部口腔衛生学教室


<BMI と 歯の健康つくり得点>

やせ、標準:BMI 25以下
肥満      :BMI 25以上


<BMI と 現在歯数>

やせ、標準:BMI 25以下
肥満      :BMI 25以上


<CPI(歯周病) と BMI平均値>

 

軽度歯周病 : CPI 012

重度歯周病 : CPI 34


<お口の健康 と 肥満(BMI)との関係>
●歯を健康に保つための生活習慣 と 肥満は関係がある。
(肥満の人は健康つくり得点が、標準・やせの人に比べ、0.35得点が低い。このことは、検定結果より有意の差がある。)
●歯の数と肥満の関係 肥満の人はやせ、標準に比べ、0.29本歯が少ない。

●l歯周病 と 肥満は関連している。(特に、BMI平均では、若い年齢ほど歯周病の罹患度による差が大きい。)
歯周病が重度の人は、軽度な人に比べ、BMIが平均0.52高い

お口の健康 と 肥満(BMI) が 関連づけられる。

(株)豊田自動織機安全健康推進部健康管理室
刈谷市歯科医師会・(有)システムウェルネス・愛知学院大学歯学部口腔衛生学教室